モデル理論の最初 モデルの拡大
第5章モデル理論に入りました。
部分モデルと初等部分モデルについて。
この辺は具体例と一緒に考えたいと思います。
部分モデル
MがNの部分モデルであることをM⊂Nと書きます。集合の包含関係と同じ記号。
部分モデルの定義はp.179で与えられていますが、
言語L={R,…,f,…,c,…}の二つモデルMとNが、
・集合としてM⊂Nであり、
・各定数記号の解釈がすべてMに入っており、
・関数についてMは閉じている
ことを確認すれば十分です。
同値な言い換え。
集合としてM⊂Nであれば、
ただし、MのダイアグラムDiag(M)とは、言語L(M)において、Mが充たす閉リテラル全体の集合のこと。
このことから、Mの拡大モデルで、いくつか公理を付け加えたモノを作りたいときには、まずDiag(M)を考え、付け加えたい公理達をTとすると、T∪Diag(M)が充足可能であることを示してモデルを作ればよいことがわかかります。
例:
言語L={0,1,+,・}のモデルである整数全体の集合Zと有理数全体の集合Qは、モデルとして、
となっています。
あと、群の部分群は部分モデルでもあります。
要するに関数記号について閉じていることをチェックすればいいので、部分モデルを見つけるのは難しくなさそうです。
初等部分モデル
定義
MがNの初等部分モデルである(NがMの初等拡大モデルである)
とは、
・MがNの部分モデルである。
・任意のL(M)論理式φについて
となること。
Mの元をパラメタとした論理式の真偽がMとNで一致するということですね。
こちらの同値な言い換えは、
で、具体例が割と難しいです(+ω+)
さきほどの整数と有理数は部分モデルにはなっても初等的部分モデルにはなりません。なぜなら、論理式
∃x(x+x=1)
は、有理数では真ですが、整数では偽であるので、各モデルで真なる論理式が一致しません。
整数の初等拡大モデルを考えるには、
に公理を矛盾しないように付け加えて、そのモデルをつくればいいのですが、
たとえばZに無限大を付け加えた整数の超準モデルを考えていけばいいと思います。