レーヴェンハイム・スコーレムの定理!!
公理系Tが無限モデルを持てば、可算モデルも不可算モデルも持ちますよ!それどころかどんな大きな濃度のモデルも持ちますよ!っていう定理です。ちょっとテンションが上がってきますねー(∩´∀`)∩
まずは定理の引用から。(新井敏康「数学基礎論」より)
定理5.1.7(上方(Upward)Löwenheim-Skolem 定理)
1.言語Lでの公理系Tがどんなにも大きい有限モデルをもてばあるいは無限モデルをもてば
(つまり),
どんな無限基数についても
Tのモデルで濃度κのものが存在する.
2.無限モデルについてその初等拡大で
与えられた無限濃度
となるものが存在する.
(p.183)
定理5.1.13(下方(Downward)Löwenheim-Skolem の定理)
1.L-無限モデルと集合について,
初等部分モデルで
かつ
となるものが作れる.
(p.185)
上方のほうのスコーレム・レーヴェンハイムの定理は、ある公理系が無限モデルをもてば、どんなにも大きい無限モデルをも持つことを主張しています。なので、たとえば自然数の公理系PAのモデルで、不可算濃度のものが作れます。
さらにすごいのは、この定理から導かれる系5.1.10。この系によれば、公理系Tが無限モデルをもてば、Tの濃度κのモデルMで、Mで定義できる無限集合の濃度がすべてMと同じκになるようなものが作れます。すると、たとえばZFCの(有限部分の)モデルで、モデル内で定義できる無限集合がすべて可算濃度ωになるものが存在します。ZFCといえば、順序数のクラスを定義できるので、基数もどんどん大きくできるように思えます。が、そのモデルの中では、すべての順序数が可算、実数の集合も可算、実数のべき集合も可算です。オイオイヾ(゚Д゚ )これどうなってんのよ?不可算基数はどこ行ったァァァっ!って感じのモデルです。ZFCのすべての無限集合が不可算になるモデルもあります。ωが不可算とかね。もうね。何が起きているのやら。
下方のほうのスコーレム・レーヴェンハイムの定理からは、言語が可算であれば、どんな大きな無限モデルにもその初等部分モデルになるような可算モデルを持つことが言えます。(X=∅とすればよい。)
こっちのほうは、素朴に考えたらたとえば実数の集合Rとかは可算な初等部分モデルを持たなそうですけど、それが作れてしまいます^^;
可算な実数のモデルというのは実数の集合に対して、
かつ
(φはL(M)-論理式)
なる可算集合Mのことですから、かなり奇妙な感じがしますね。